取締役大学講座・ガバナンス構築編U
講座概要/講師師介


●コーポレート・ガバナンスと社外取締役

【講座概要】
 コーポレート・ガバナンスを考える上では、経営陣から独立した独立社外取締役の存在が必要不可欠です。取締役会は企業価値・株主価値向上の観点から、企業経営を監督する役割が求められていますが、日本企業では社外取締役の数は少なく、取締役会の監督機能に対する意識は十分とはいえません。
 低い収益性・資本効率からの脱却、続発する企業不祥事・不正会計を回避するためには、コーポレート・ガバナンスの構築が急務であり、そのためには独立した社外取締役を受け入れ、積極的に活用していくことが日本企業に求められています。
 ここでは、コーポレート・ガバナンスの必要性、独立社外取締役の機能と求められる役割、日本企業の社外取締役の選任状況とその実態、委員会設置会社と監査役設置会社のガバナンスの差異、ガバナンス改革のためのステップなどについてとり上げていく予定です。

【講師略歴】
田村 達也(たむら・たつや)
全国社外取締役ネットワーク 代表理事
潟Oローバル経営研究所 代表取締役
東京大学法学部卒業、ペンシルヴァニア大学院修了。
1961年日本銀行入行。86年日本銀行欧州代表、89年〜91年調査統計局長、企画局長、営業局長を歴任、92年〜96年日本銀行理事。
1996年〜2002年A.T. カーニー渇長を経て、02年潟Oローバル経営研究所を設立、代表取締役に就任、2003年3月全国社外取締役ネットワーク代表理事に就任、現在に至る。
潟Iートバックスセブン 社外取締役の他、過去にオリックス梶Aボーダフォン梶A潟Jネボウ化粧品、潟Xカイパーフェクト・コミュニケーションズ、サンデン梶Aスルガ銀行鰍ナ社外取締役を務めた。


●報酬委員会の責務と役員報酬制度

【講座概要】
 報酬委員会に関する機能は、指名委員会のそれよりも日本企業の間で受け入れられているといえるでしょう。
 経営者報酬は、企業価値向上のための重要なドライバーで、経営者の動機付けという観点からもコーポレート・ガバナンスの重要な機能を担っています。
 報酬委員会には、決定プロセスの透明性、客観性を確保しながら、長期的な企業価値向上のために、どのような経営者報酬の体系にすべきなのか、ストックオプションや株式報酬まで含めた報酬制度の設計が求められています。
 ここでは、長期的な企業価値創出のための、報酬委員会の責務、経営者・取締役の報酬全般、および経営者・取締役の株式保有・ガイドラインといった内容についてとり上げていく予定です。


【講師略歴】
阿部 直彦(あべ・なおひこ)
タワーズペリン マネージングプリンシパル 駐日代表
慶應義塾大学商学部卒業。
1985年ピートマーウィックミッチェル東京事務所入社後、92年ロサンゼルス事務所報酬制度コンサルティング部門ディレクター。97年タワーズペリンロサンゼルス支店入社、東京支店へ転勤後、2001年より現職(当時東京支店長)。日本企業の経営者報酬に関するコンサルティングに従事。

櫛笥 隆亮(くしげ・たかあき)
タワーズペリン経営者報酬コンサルティング部門コンサルタント
東京大学経済学部卒業。公認会計士。大手監査法人を経て、タワーズペリン入社。大手上場企業における上級経営者の報酬コンサルティング活動に従事。


●指名委員会の責務とサクセッションプランニング

【講座概要】
 日本では、指名委員会の機能を持っている企業はごく少数にとどまっています。
 CEOやCFOといった経営トップの選任、サクセッションプランニングは、コーポレート・ガバナンスの最も大きなテーマの一つです。将来の経営トップの育成計画を有していない企業は、長期的視点を持っていないと評価されかねません。
 指名委員会は、サクセッションプランニングの他にも、取締役の選任に責任を負います。社内からの昇進者であれば公正な役員選任システムを通り、社外からの招聘であれば独立性を考慮した選任基準が必要です。さらに取締役の選任後は、取締役および取締役会のパフォーマンス評価も必要となってきます。
 ここでは、米国における指名委員会の活動と、日本企業での先進的な事例を参考に、日本企業で指名委員会の機能を実現するための方策についてとり上げていく予定です。

【講師略歴】
田中 滋(たなか・しげる)
潟wイ コンサルティング グループ 代表取締役会長
東京大学工学部卒業、同大学院修士課程修了。エール大学大学院経済学修士。
通商産業省(現:経済産業省)を経て、1986年ヘイ・コンサルティング・グループ入社。90年に日本支社長、その後の法人化に伴い代表取締役社長。2007年から代表取締役会長。1998年からはヘイ・グループ(米国)の本社取締役も務める。
日本企業における人事制度と人材マネジメントの革新に取り組み、成果主義型人事制度およびコンピテンシーを日本に導入したコンサルタントとして知られる。


●監査委員会/監査役会の責務、外部監査と内部統制

【講座概要】
 監査委員会(監査役会)は、企業が健全な成長を遂げるためには、なくてはならない存在です。日本では監査委員会が設置される委員会設置会社の数は少なくなっていますが、監査役会設置会社では、監査役会がその役割を担っています(一部その機能は異なります)。
 ここでは、監査委員会の権限(監査、会計監査人との関係、違法行為の対応、訴訟関連etc.)、監査委員の責任、取締役会・他委員会との関係について理解した上で、監査委員会と監査委員の実際の活動についてもとり上げていきます。
 さらに、米国では財務の専門家が必要とされているがその理由は何か、監査委員に求められる資質は何か、監査委員会による監査と監査役会による監査とは根本的にどこが違うのか、監査委員会および監査役会と外部監査、内部統制との接点といった幅広い範囲について網羅する予定です。

【講師略歴】
山内 悦嗣(やまうち・よしあき)
ARI研究所 副理事長、公認会計士
全国社外取締役ネットワーク 監事
一橋大学商学部卒業。
アーサーアンダーセン日本代表、朝日監査法人専務理事を経て、日本アンダーセン研究所(現ARI研究所)副理事長に就任、現在に至る。
公認会計士第三次試験 試験委員(監査実務担当)を歴任。
ソニー梶@社外取締役(監査委員会議長)、且O井住友フィナンシャルグループ 社外取締役、潟Aマナ 社外取締役、スタンレー電気梶@社外監査役