取締役会事務局のためのMID(ガバナンス講座)<第3期>
2015年のコーポレートガバナンス・コード適用、そして2018年の改訂で、上場会社のコーポレート・ガバナンスは形式から実質へと、より一層の深化が求められています。本講座は、取締役会の実効性を支える取締役会事務局の現場の要請に応える実践的なプログラムです。全8回にわたり、これからの取締役会事務局が取り組むべき内容を網羅しています。
取締役会事務局がよりよく機能することで、上場会社のコーポレート・ガバナンスは飛躍的に向上することが期待されます。本講座で必要な知識を習得するとともに、取締役会事務局間の横の連携強化にもお役立ていただけるよう工夫して運営していきます。
「MID」はCGネットが行うガバナンス・トレーニング・プログラムで、「独立社外役員向け」と「取締役会事務局向け」の二つのコースがあります。
対象者
取締役会事務局、取締役会サポート部門、ガバナンスの実務担当者、その他、コーポレート・ガバナンスの最新動向・本講座の内容に関心のある専門家
構成・修了証
CGネット所定の「修了証」授与要件は以下のとおりです
構成・修了証授与要件 |
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全8回中、6回以上の受講 |
※修了証は全講義の終了後に授与します。授与要件に満たない方は補講の機会をご利用下さい。
※代理出席については、以下の通りです。
個人会員…不可
賛助会員および非会員…可(但し申込者本人の受講回数には見做されません)
定員
各60名(先着順)
開催場所
CGネット会議室(東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング 12F)
※講座修了者を対象に、2018年4月より、取締役会事務局間の情報交換を行う「取締役会事務局懇話会」を設置しています。2019年4月には参加者有志による論文「取締役会評価の活用と取締役会のPDCAサイクル─取締役会事務局の果たす役割─」が旬刊商事法務に掲載されました。
講座カリキュラム(8コマ)
2019年9月上旬~2019年12月上中旬
15:30~17:30
開会挨拶 『取締役会の実効性を支える取締役会事務局とは』
第1講:『取締役会事務局に期待すること~アカウンティング・ファイナンス・ガバナンスの視点から』
2019年9月3日(火)15:30~18:00
(※本講のみ終了時刻が異なります)
取締役会事務局にはどのような役割が期待されるのでしょうか。取締役会の運営は会社によって様々ですし、取締役会室など専属の事務局を置くか、経営企画、総務、総務、秘書室など担当する部署によっても期待されるところは変わってくるものと思われます。ここでは、多くの取締役会事務局との接点を持ってきた松田教授から、ご専門のアカウンティング&ファイナンス(財務会計)、コーポレート・ガバナンスの観点から、取締役会事務局のあるべき姿、そこに近づくために取り組むべきことなどについてお話をいただきます。
開会挨拶 『取締役会の実効性を支える取締役会事務局とは』
牛島 信
(うしじま・しん)
日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク 理事長、牛島総合法律事務所 代表弁護士
1949年生まれ。東京大学法学部卒業。検事を経て弁護士に。1985年牛島総合法律事務所開設。
現在、同事務所代表弁護士(弁護士50名・外国弁護士(日本無資格)2名が所属)。
日本生命保険相互会社社外取締役・社外取締役委員会委員長、株式会社朝日工業社社外監査役、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会監事、一般社団法人不動産証券化協会監事等も務める。
〔著述〕
法律論文に『コーポレートガバナンスの実状と発展』(尾崎安央他編「上村達夫先生古希記念 公開会社法と資本市場の法理」商事法務・2019年)など数十篇。対談集に『名経営者との対話:コーポレートガバナンスの実践と理論」、小説に『株主総会』、『あの男の正体(ハラワタ)』、『少数株主』など10作、エッセイ集に『現代の正体』など7作。
現在、各分野で連載継続中
『取締役会事務局に期待すること~アカウンティング・ファイナンス・ガバナンスの視点から』
松田 千恵子 氏
(まつだ・ちえこ)
首都大学東京大学院 経営学研究科 教授
企業の経営・財務戦略構築、グループ経営・事業ポートフォリオマネジメント支援、コーポレートガバナンス等を手がける。企業経営と資本市場との関係に着目した実務、教育、研究に注力している
株式会社日本長期信用銀行にて国際審査、海外営業等を担当後、ムーディーズジャパン株式会社格付けアナリストを経て、経営戦略コンサルティング会社である株式会社コーポレイトディレクション、ブーズ・アレン・ハミルトン株式会社でパートナーを務める。2006年にマトリックス株式会社設立、現在に至る
日本CFO協会主任研究委員。事業会社や公的機関等にて社外取締役・監査役、アドバイザリーボードメンバー等を務める。著書「格付けはなぜ下がるのか~大倒産時代の信用リスク入門」(日経BP社)、「ファイナンスの理論と実務」(金融財政事情研究会)、「グループ経営入門 第三版」(税務経理協会)、「成功するグローバルM&A」(中央経済社)、「これならわかるコーポレートガバナンスの教科書」(日経BP社)、「コーポレートファイナンス実務の教科書」(日本実業出版社)、「ESG経営を強くするコーポレートガバナンスの実践」(日経BP社)、「サステナブル経営と資本市場」(共著、日本経済新聞社)等
東京外国語大学外国語学部卒、仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院経営学修士、筑波大学大学院企業科学研究科博士後期課程修了、経営学(博士)
第2講:『取締役会事務局が知っておきたい企業不正・不祥事』
2019年9月13日(金)15:30~17:30
企業不正や不祥事が発生することで、当該企業の企業価値を大きく毀損するだけでなく、関係するステークホルダーにも多大な迷惑をかける大きなリスクになります。企業の不祥事が続発して起こっている中、ガバナンスの実務を担うこれからの取締役会事務局は、企業不正、不祥事に関する正確な知識が求められてきます。日本公認不正検査士協会で理事を務め、企業不正、不祥事に詳しい辻氏から、取締役会事務局に知って欲しい企業不正、企業不祥事の実例と内部統制及びリスク管理について解説いただきます。
辻 さちえ 氏
(つじ・さちえ)
エスプラス 代表取締役、日本公認不正検査士協会 理事、公認会計士
1996年10月監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入所。会計監査、アドバイザリー業務経験後
2015年7月に独立して(株)エスプラス設立。内部統制、内部監査、企業不正予防関連のコンサルティング業務している。
この他、企業不正関連のセミナーを官公庁、公認会計士協会、監査法人、企業向け等数多く実施している。
2016年6月 日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)理事就任
2017年6月 (株)シーボン 社外監査役就任
2017年10月 日本CFO協会 主任研究委員就任
第3講:『上場会社のコーポレートガバナンス向上に向けた東証の取組み~コーポレートガバナンス・コードの対応状況を踏まえて』
2019年10月4日(金)15:30~17:30
取締役会事務局にとって、コーポレート・ガバナンスの動向をウォッチすることはきわめて重要です。とりわけ、現在のガバナンス実務の大きな部分を占めるコーポレートガバナンス・コードがどのような背景、目的で作られたのか、上場会社への期待はどのようなものかを理解することは、コーポレート・ガバナンスの本質を考えることにつながります。コーポレートガバナンス・コードの改訂、法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会、CGS研究会などに従事されている深津調査役から、東京証券取引所のガバナンスの取り組みの全体像についてお話いただきます。
深津 寿仁杏 氏
(ふかつ・じゅにあ)
東京証券取引所 上場部企画グループ調査役
2007年 株式会社東京証券取引所入社。株式部、総務部法務グループなどを経て2017年より上場部にて上場制度の企画を担当。
コーポレートガバナンス・コードの改訂、法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会、CGS研究会などに従事。
上智大学法学部卒業。東京大学公共政策大学院修了。
第4講:『取締役会の運営実務~モニタリング・モデル型における付議基準、社外取締役の比率、取締役会議長のあり方など』
2019年10月15日(火)15:30~17:30
昨今は、取締役会について、意思決定機能よりも監督機能を重視することが求められています。このような取締役会は、モニタリング・モデル型と言われますが、その運営のあり方は、必ずしも明らかではありません。実効的な取締役会の運営のポイントとなり、また、取締役会改革の中で今後より強く求められる事項は、取締役会の付議事項のスリム化、社外取締役の増員、取締役会議長とCEOの分離などです。こうした論点について、取締役会の運営実務に詳しい塚本弁護士が、実務的観点からご解説いただきます。
塚本 英巨 氏
(つかもと ひでお)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー弁護士
2003年3月 東京大学法学部卒業
2004年10月 弁護士登録
2010年11月~2013年12月 法務省民事局出向(平成26年会社法改正の企画・立案)
2013年1月 パートナー就任
2014年4月~2017年3月 東京大学法学部非常勤講師(「民法基礎演習」担当)
2016年1月~ 公益社団法人日本監査役協会「ケース・スタディ委員会」専門委員
2017年12月~ 経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会(第2期)」委員
〔著作〕
『コーポレートガバナンス・コードのすべて』(商事法務、2017年)(共同執筆)、『監査等委員会導入の実務』(商事法務、2015年)ほか多数
第5講:『社外取締役のサポート実務~情報提供・内部通報・監査役との連携』
2019年11月1日(金)15:30~17:30
社外取締役のサポートは取締役会事務局にとって最も大きな仕事の一つです。社外取締役に対する取締役会の議案に関する資料配布や事前説明、会社に関する情報提供などが求められます。さらに、コーポレートガバナンス・コードに記載されている、経営陣から独立した内部通報窓口の設置や監査役との連携についても、今後重要なテーマになってくると思われます。ここでは、コーポレートガバナンス・コード対応に詳しい樋口弁護士に、社外取締役のサポート実務について、豊富な経験をもとに網羅的にご解説いただきます。
樋口 達 氏
(ひぐち・わたる)
大手門法律会計事務所 代表パートナー 弁護士 公認会計士
〔略歴〕
1993年3月 東京大学経済学部経済学科卒業
1993年10月 会計士補登録 監査法人トーマツ入所
1997年4月 公認会計士登録
2001年4月 司法研修所
2002年10月 弁護士登録 成和共同法律事務所(成和明哲法律事務所)入所
2012年8月 公認不正検査士登録
2016年6月 丸紅建材リース株式会社社外取締役(監査等委員)
2018年10月 大手門法律会計事務所 代表パートナー
2019年6月 オルガノ株式会社社外監査役
〔主な職歴〕
第一東京弁護士会弁護士業務改革委員会税務部会員
青山学院大学非常勤講師(「企業再編の法と実務」 2006年~2018年)
日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク 正会員
日本弁護士連合会業務改革委員会外部監査人制度運営小委員会幹事(2006年~2008年)など
第6講:『取締役会の実効性評価の実務~取締役会事務局の関わり方も含めて』
2019年11月12日(火)15:30~17:30
取締役会の実効性評価は、すでに多くの日本企業で自己評価という形で実施されておりますが、その結果をどのように取締役会の改革、そして企業価値向上につなげていくかについて、悩んでいる企業も多いと思われます。ここでは、日本においていち早く取締役会評価の支援を行い、多くの第三者評価を実施した高山氏から、これまでの経験にもとづき、取締役会事務局の立場から見た実効性評価の実務と課題についてご解説いただきます。
高山 与志子 氏
(たかやま・よしこ)
ジェイ・ユーラス・アイアール マネージングディレクター、取締役 ボードルーム・レビュー・ジャパン 代表取締役
日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク 理事
ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社のコンサルティング部門の責任者として、コーポレート・ガバナンス及びIR活動に関するコンサルティングを行う。
2015年よりボードルーム・レビュー・ジャパン株式会社の代表取締役に就任、数多くの企業の取締役会評価の支援を実施。
主要著書・論文として、『スチュワードシップとコーポレートガバナンス』(共著、東洋経済新報社)、
「取締役会評価とコーポレート・ガバナンス ─形式から実効性の時代へ─」『商事法務』2043号(2014年9月15日)など多数。
株式会社オートバックスセブン社外取締役。
金融庁・東京証券取引所 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバー。
地方公務員共済組合連合会資金運用基本問題研究会委員。
東京大学経済学部卒。エール大学経営大学院卒MBA取得。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士号取得(社会情報学)。
第7講:『指名・報酬委員会事務局の実務』
2019年12月3日(火)15:30~17:30
最近、任意の指名・報酬委員会を設置する会社が増えています。各委員会の事務局は取締役会事務局が兼ねるケースが増えていくと思われます。これから委員会を設置、あるいは運営を本格化していく上で、指名・報酬委員会の事務局をどのように運営していくかは悩ましいところです。
ここでは、コーポレート・ガパナンスの根幹である経営者の後継者計画、経営者報酬改革のコンサルティングに従事されている井上氏から、両分野の最新動向を踏まえ、指名委員会と報酬委員会の事務局実務を務める上での留意点などについてご解説いただきます。
井上 康晴 氏
(いのうえ・やすはる)
マーサー ジャパン 組織・人事変革コンサルティング プリンシパル
事業会社、外資コンサルティングファームを経て現職。
多業種にわたる組織・人事戦略の策定/導入、役員報酬・コーポレートガバナンスの設計、組織・人事制度設計と運用サポート、グループ人材マネジメント、チェンジマネジメント、タレントマネジメント、人材アセスメント、ダウンサイジング、教育体系の設計、など、多岐に渡るプロジェクトをリードしている。
名古屋大学経済学部卒業
第8講:『取締役会事務局が知るべき機関投資家の考え方~ESGの目線を含めて』
2019年12月13日(金)15:30~17:30
コーポレートガバナンス・コードに「株主との対話」が定められたことで、内外の機関投資家について理解が求められています。多くの会社では、この分野はIR部署が対応していると思われますが、ボードメンバーのサポートを行う取締役会事務局が機関投資家の考え方を理解することは必須になってくると思われます。ここでは、ニッセイアセットマネジメントでコーポレート・ガバナンスを統括されるとともにICGNで理事を務める井口氏に、取締役会事務局に知ってほしい機関投資家の考え方についてご解説いただきます。
井口 譲二 氏
(いぐち・じょうじ)
ニッセイアセットマネジメント チーフ・コーポレート・ガバナンス・オフィサー 上席運用部長(投資調査)
アナリストリサーチの統括とスチュワードシップ活動の責任者。 1988年大阪大学経済学部卒業、金融・素材などのアナリスト業務、投資調査室長を経て現職。 ICGN理事。IFRS(国際会計基準)諮問会議委員、金融庁「金融審議会専門委員(ディスクロージャーワーキング・グループ・市場構造専門グループ)」/「企業会計審議会監査部会臨時委員」、企業会計基準委員会専門委員(企業結合・ディスクロージャー)など。主な著書・論文に『財務・非財務情報の実効的な開示—ESG投資に対応した企業報告——』(別冊商事法務2018年4月)、『議決権行使状況の開示について』(証券アナリストジャーナル2019年6月号)など。
受講料(税込)
日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク会員
- 修了証授与受講申込
- 60,000円(全8回)
- 単回申し込み
- 10,000円/回
非会員
- 修了証授与受講申込
- 120,000円(全8回)
- 単回申し込み
- 20,000円/回
※本講座の受講を機会にCGネットへのご入会を歓迎します。
講座修了者を対象に、2018年4月より、取締役会事務局間の情報交換を行う「取締役会事務局懇話会」を設置しています。
2019年4月には参加者有志による論文「取締役会評価の活用と取締役会のPDCAサイクル─取締役会事務局の果たす役割─」が旬刊商事法務に掲載されました。