日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークが行うセミナー・シンポジウム

第88回セミナー「クロスボーダーM&Aとコーポレート・ガバナンス」 

【日時】 2014年5月29日(木) 10:00~11:30
【場所】 日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク会議室(港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービル12F)
【出演者】 井上 光太郎 氏(東京工業大学 社会理工学研究科 教授)

■ セミナーの趣旨

最近のサントリーホールディングスの米ウイスキー大手のビーム社買収(1兆6000億円)をはじめ、電通による英イージス(4000億円)、丸紅による米穀物大手ガビロン(2600億円)、ソフトバンクによる米携帯電話スプリント(1兆7000億円)など、大型の海外M&A(クロスボーダーM&A)が増えています。この背景には、投資ファンドなど投資家の圧力があることと、買収の結果、買い手の日本企業が世界シェア5位以内に入るという共通点があります。
海外M&A後の経営では、異なる企業文化やコーポレート・ガバナンスに対する考え方がぶつかり合います。最新の海外の研究で、買い手による買収企業のコーポレート・ガバナンス改善が価値創出につながっているとの報告がありますが、日本企業をみるとそれが逆で、買い手企業である日本企業のガバナンスに影響を与えています。日本企業は買収後の適切なコーポレート・ガバナンスを受け入れ、それを生かしていく柔軟さが求められます。海外M&Aを積極的に活用する日本企業は、自社のコーポレート・ガバナンスの大きな変化も積極的に受け入れることで、長期的な成長が実現できると思われます。本セミナーでは、投資ファンド、海外M&Aの動向に詳しい東京工業大学の井上教授から、海外M&Aとコーポレート・ガバナンスについてご解説いただきます。

※文中の買収金額は、日本経済新聞・経済教室、M&Aを考える「企業統治、変化の契機に」井上光太郎氏(2014年2月4日)から抜粋。

■ 出演者紹介

◎井上 光太郎(いのうえ・こうたろう)
 東京工業大学 社会理工学研究科 教授

1966年生まれ。1989年 東京大学卒、1997年MITにてMBA取得、2003年筑波大学にて博士(経営学)取得。
大学卒業後15年間大手銀行、コンサルティング会社等に勤務。KPMGのM&A部門ディレクターを経て、2003年名古屋市立大学経済学研究科・助教授。
その後、慶應義塾大学ビジネススクール准教授を経て、2012年より現職。
専門は経営財務、ファイナンス市場、法と経済学、行動ファイナンス。特にM&A、リストラクチャリング関連の論文をJournal of
Banking and Finance等に数多く掲載。著書に『M&Aと株価』(東洋経済新報社)、『M&Aとガバナンス』(中央経済社)など。
現在、アジアファイナンス学会理事、日本経営財務研究学会理事、行動経済学会監事、経済産業研究所(RIETI)『コーポレートガバナンス研究会』委員、日本証券業協会研究会・研究委員。
現在も実務関連では、原子力損害賠償支援機構の第三者委員会委員、東京電力ビジネスアライアンス委員会委員を務める。
全国社外取締役ネットワーク活動履歴
  • 日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム活動履歴
  • 日本コーポレート・ガバナンス研究所