コーポレート・ガバナンス教育プログラムの取締役・監査役大学講座

企業価値コース(第5期)

上場会社の取締役・監査役は、コーポレート・ガバナンスの担い手であるとともに、企業価値の向上と毀損の防止を担う存在でもあります。自社の企業価値をしっかりと見定め、それを目標として経営とガバナンスとをバランスをとっていく必要があります。

本「企業価値コース」では、ボードメンバーが認識しておくべき企業価値について様々な角度から学びます。第1~2講で企業価値の基礎から広範な実務的視点まで学び、第3講では、豊富な国内企業の事例からボードメンバーにとって必須となるM&A知識の習得を目指します。第4講では、重要な開示資料である有価証券報告書に焦点を当て、企業価値の観点からボードメンバーが把握しておくべき点、見落としがちな点について学びます。

■ 企業価値コースのカリキュラム

コース名 講座概要
第1講
2012年5月23日(水)
18:30~20:30
『企業価値向上の基礎-見える資産と見えない資産』
 三富 正博 氏
 ㈱バリュークリエイト 代表取締役、公認会計士
第2講
2012年5月30日(水)
18:30~20:30
『企業価値創造の実務的な視点-見えない資産を磨く』
 三富 正博 氏
 ㈱バリュークリエイト 代表取締役、公認会計士
第3講
2012年6月4日(月)
18:30~20:30
『過去の日本企業の買収失敗例に学ぶ、取締役・監査役にとってのM&A基礎知識』
 服部 暢達 氏
 早稲田大学大学院ファイナンス研究科 客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 客員教授
第4講
2012年6月12日(火)
18:30~20:30
『企業価値を意識した有価証券報告書の読み方-戦略と会計』
 野間 幹晴 氏
 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授
講演概要・講師略歴
三富 正博(みとみ・まさひろ):第1講、第2講
株式会社バリュークリエイト 代表取締役、公認会計士

【講演概要】
グローバルな公認会計士として財務諸表や監査の経験を積み、現在は、企業価値創造の注目コンサルタントとして活躍されているバリュークリエイトの三冨氏よる講義では、財務が専門でない取締役・監査役にとって押さえておくべき企業価値創造について学びます。
ROE、PER、PBRの関係を明らかにすることから始まり、企業価値と株価の関係、貸借対照表に載る「見える資産」・載らない「見えない資産」、見えない資産の重要性、非財務系の役員が知っておくべき企業価値創造プロセス、リーダーシップとコミュニケーション等について、企業価値が創造された実例を交えて広範な知識を習得します。

【講師略歴】
1987年、青山学院大学経営学部卒業後、アーサー・アンダーセン東京事務所に入所。1991年、アメリカに転勤。以降9年間、マーケティング、リスク管理、プロジェクト管理、顧客管理、品質管理、人事・教育、ナレッジ・マネジメントなどの「見えない資産」のマネジメントを実践する。2000年に日本に帰国、ベンチャー企業CFOを経て2001年に株式会社バリュークリエイトを設立。
ベンチャー企業から従業員が1万人以上のグローバル企業まで企業の規模や業種を問わず、企業の経営者に「五つの資産TM」と「バリュートライアングルTM」を使って企業価値創造の視点からの経営アドバイス、マネジメントチームの構築、次世代経営者の育成サポートを行っている。
著書に「企業価値評価の基本と仕組みがよ~くわかる本」(共著、秀和システム、2005年)、「目的別7ステップ財務分析法」(税務経理協会、2010年)、「ワクワク会社革命」(講談社、2010年)がある。
日米公認会計士。慶應義塾大学ビジネススクール講師。
服部 暢達(はっとり・のぶみち):第3講
早稲田大学大学院ファイナンス研究科客員教授
一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授
服部暢達事務所 代表取締役

【講演概要】
投資銀行で数々のM&A案件を手掛け(講師略歴参照)、現在はビジネススクールで教鞭をとる傍らM&Aの研究活動を行われている服部氏による講義では、ボードメンバーが押さえておくべきM&Aについて学びます。
世界および日本のM&A市場動向・M&Aの阻害要因と最近の変化を概観した後、日本企業・外国企業のM&Aの失敗例、成功例について豊富な事例をもとに解説いただきます。これらを踏まえてM&Aの成功と失敗の原因分析を行うことで、取締役・監査役が自社の取締役会でM&A案件の決議を求められた時、最低限チェックすべきM&A基礎知識の習得を目指します。

【講師略歴】
1981年3月、東京大学工学部卒業。日産自動車を経て89年6月、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン・スクール経営学修士課程卒業。89年より03年まで米国系大手投資銀行にて日本におけるM&Aアドバイザリー業務を担当。98年からはマネージング・ディレクターとして同業務を統括。日本リースのリース事業のGEキャピタルへの売却、第二電電・KDD・日本移動通信の三社合併、ロッシュによる中外製薬の買収、NKKと川崎製鉄の経営統合など日本企業が関係する大型案件を数多く手がけた。03年10月より一橋大学大学院国際企業戦略研究科にて、また09年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究センターにてM&Aと企業価値評価の講義を担当するかたわら、有限会社服部暢達事務所を設立して、日本における株主価値増大に資するM&Aの研究・評論活動を行っている。
主な論稿
「M&A最強の選択」(日経BP社 2006年2月)
「LBOブーム到来は必然」(日本経済新聞 2006年4月、経済教室)
「検証 日本の敵対的買収」(日本経済新聞出版社 2007年7月)(共著)
「実践M&Aハンドブック」(日経BP社、2008年1月)
「日本のM&A「買い」に偏り、価値創出へ綿密な計画を」(日本経済新聞 2010年6月、経済教室)
「金融サービスのイノベーションと倫理」(中央経済社、2011年3月)(共著)
野間 幹晴(のま・みきはる):第4講
一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授

【講演概要】
企業価値評価を専門分野とし、親子上場や独立役員などのガバナンス問題について様々な実証研究を行っている野間准教授による講義は、上場会社にとって最も重要な開示資料の一つである有価証券報告書(有報)に焦点を当てます。
前段で有報を読むための基本となる損益計算書、貸借対照表、運転資本、キャッシュフロー(営業、投資、財務および三つの関係)などの基礎を学び、さらに日本企業の課題として、株主還元とR&Dや設備投資について理解を深めます。その上で、粉飾決算のあった企業の有報の実例を見ながら、取締役・監査役がチェックすべき点、見落としがちな点を解説いただく予定です。
(粉飾決算のケーススタディーは事前に資料を配布します)

【講師略歴】
一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。博士(商学)。
横浜市立大学商学部を経て現職。2010年より2011年までコロンビア大学ビジネススクール・フルブライド研究員。
専門は、アカウンティング、企業価値評価、コーポレート・ファイナンス。
主要著書に、『日本企業のバリュエーション-資本市場における経営行動分析』(中央経済社、2009)、『コーポレート・ファイナンス入門』(共立出版、2005)、「日本企業の競争力はなぜ回復しないのかー配当行動と投資行動をめぐる2つの通説への反駁」『一橋ビジネスレビュー』(2010年秋号)など。
東京証券取引所「上場制度懇談会ディスクロージャー部会」委員。
全国社外取締役ネットワーク活動履歴
  • 日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム活動履歴
  • 日本コーポレート・ガバナンス研究所